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アジア太平洋地域では、供給が限定的なコールドストレージ物流施設は賃料を押し上げて投資に拍車をかける

Yuko Okayasu • 24/12/2020

グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)が発行した最新レポート 「アジア太平洋地域のコールドストレージ物流」 によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの開発により、ワクチンを低温で保管する必要があるため、温度管理された物流の需要が高まります。科学者は、COVID-19ワクチンは単発ではなく、効果を維持するためにインフルエンザワクチンのように年1回の接種が必要になるとの見方を示しています。これにより、世界中でコールドストレージの需要は持続していきます。

このレポートではまた、COVID-19ワクチンの開発をめぐる世界的な動きと、パンデミックの結果としてのeコマースを通じた消費者需要の構造的変化を考慮して、コールドストレージの需要がどのような影響を受けるかを議論しています。

世界の製薬会社はポートフォリオと優先順位をバイオ医薬品(多くの疾患の治療に革命をもたらした生体成分から作られた医薬品)にシフトしています。このようなバイオ医薬品のブームは、需要を満たすためにコールドチェーン輸送と包装への支出が増加していることを意味しています。コールドチェーン物流では、保管には温度管理された倉庫を使用し、流通には保冷された輸送車両を使用します。輸送手段には、冷蔵トラック、冷蔵鉄道車両、冷蔵貨物、航空貨物などがあります。

ヘルスケア製品の約25%は温度に敏感であり、出荷プロセス全体を通して特定の温度範囲を維持することが不可欠です。医薬品と並んで、電子商取引と食料品通販が他の2つの需要を牽引しています。

賃料プレミアムは50%から100%程度で推移

コールドストレージは従来のドライ倉庫とは異なる高い賃料を要求します。冷蔵施設の種類(冷蔵または冷凍庫)および国によって、賃料のプレミアムは50%から100%の間、またはそれ以上の場合もあります。

クリスティン・リー(C&Wシンガポール・東南アジア リサーチ統括部長)は、次のようにコメントしています。「コールドストレージ施設の開発は断熱材や機械設備の設置によりコストが高くなる一方で、賃料プレミアムは、デベロッパーにとっては、実現可能な場合には従来の倉庫ではなく冷蔵倉庫を建設する強いインセンティブとなります。投資家やデベロッパーは、賃料プレミアムを享受するために、従来型の倉庫を冷蔵施設に転換することも検討できます。」

投資家が享受できるメリット

冷蔵倉庫が不足していることや、特定の要件に合わせて改装する必要があることから、冷蔵倉庫のテナントは長期の賃貸借を利用する傾向があります。冷蔵倉庫の典型的な賃貸借期間は 10 年から 20 年であり、例えばシンガポールでは従来のドライ倉庫の賃貸借期間がわずか 3 年であるのに比べて大幅に長いです。賃料は、インフレに連動して定期的に上昇することが多いです。

また、同じエリアに代替施設を見つけることが難しいため、契約更新率が従来の物流施設に比べて高いのも特徴です。もう一つのメリットは、コールドストレージの賃貸借は、固定資産税、管理費、建物保険料などをテナントが負担するトリプルネットリースが一般的であることが挙げられます。これにより、投資家の管理負担が軽減できます。

需要が供給を上回る可能性が高い

 アジア太平洋地域のコールドストレージのストックは欧米諸国に比べて限定的です。グローバル・コールドチェーン・アライアンス(GCCA)のデータによると、米国の都市人口1人当たりの冷蔵貯蔵容量は2018年には約0.5立方メートルでしたが、フィリピンとインドネシアではそのわずか10分の1にとどまっていました。アジア太平洋地域が都市人口一人当たりの冷蔵能力を米国と同等にするためには、新たに4億1100万立方メートルの供給を追加する必要があり、これは既存のストックのほぼ2倍の数字となります。

前出のリーは、次のように付け加えます。「このセクターは、現在は新興でニッチなセクターと見られているが、今後数年で変化し、主流のセクターへと変貌していくことが期待される。選択型アセットクラスの希少性を考えると、需要が供給を上回る可能性が高く、賃料上昇の可能性が高い。そのため、このセクターが主流になる前に市場に参入した投資家は、より高いキャピタルゲインを得ることを期待できます。」

安定資産を好む保守的な投資家は、すでに長期賃貸借で入居している冷蔵倉庫を取得することができます。一方で、より高い収益率を求める投資家は、開発利益を得るために、グリーンフィールド(開発地)とブラウンフィールド(既存建物)の両方から機会を探ることができます。プロジェクトを開始する前に、確立されたオペレーターやテナントと契約締結することで、開発完了時の空室リスクを軽減することができます。

「アジア太平洋地域のコールドストレージ物流」 レポートをダウンロードするには、こちらをクリックしてください。

ー以上ー

 

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドについて

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(ニューヨーク取引証券所:CWK)は、オキュパイヤーとオーナーの皆様に有意義な価値をもたらす世界有数の不動産サービス会社です。約60カ国400拠点に53,000人の従業員を擁しています。プロパティー・マネジメント、ファシリティー・マネジメント、プロジェクト・マネジメント、リーシング、キャピタル・マーケッツ、鑑定評価などのコア・サービス全体で、2019年の売上高は88億ドルを記録しました。詳しくは、公式ホームページwww.cushmanwakefield.com にアクセスするか公式ツイッター @CushWake をフォロー下さい。