市場概況
東京経済圏はハイパースケール拠点としての急速な成長を見せている。エクイニクスとGICの合弁事業であるxScaleの第一期の完成が間近に迫っているほか、デジタルリアルティと三菱商事のパートナーシップによる最新の敷地での開発が継続されている。これらの開発に加えて、AirTrunkも参入。同社は、かねてから噂されていた300MWの「TOK1」キャンパスの第一期60MWを2021年末までに稼働させることで、市場に参入することを予定している。このキャンパスは、フル稼働時には最も大容量のキャンパスの一つとなる可能性を秘めており、データセンター・マーケットの潜在性と、特に急速に発展している印西のデータセンター・クラスターの存在を確認する上で重要な役割を果たすことが期待されている。これら大規模開発の背景には、GoogleやAlibabaなどによるクラウドサービスの拡大に伴い、サポートアプリケーションがより広く利用できるようになったことで、企業のデジタルトランスフォーメーションが継続的に行われていることがある。コロナ禍で急速に進む日本企業のデジタルトランスフォメーション(DX)に加え、菅新政権によるデジタル庁立ち上げの動きによりデータ需要がさらに加速するとみられており、データセンター運営業者による良質なデータセンター施設構築需要が増加している。これらすべてが、日本のデータセンターエコシステム全体の継続的な成長に寄与していくことが期待される。
エコシステムの進展
- Google はGoogleクラウドと直接接続できるBare Metal Solutionの提供を、東京他主要国8都市で開始。同ソリューションは、必ずしもクラウド用に最適化されていない顧客の独自アプリケーションをGoogle施設内で稼働でき、Googleサービスとのクロスコネクトに接続利用することを可能とする。
- Equinix は今夏、東京他主要国16都市でAlibabaクラウドが使用可能となる事を発表した。AlibabaクラウドはPlatform Equinix 及びEquinix Cloud Exchange Fabricへの融合サービスを提供する。
- クラウドフレア は今夏、ユーザーがパブリッククラウドを介せずに直接クラウドフレアのサービスに接続できる Cloudflare Network Interconnect (CNI)をリリースした。同社は米国でPCCW、Equinix、メガポートと提携してこのプラットフォームを提供しており、東京以外では他22の主要都市でサービスを開始している。
- PCCW はIBMクラウドへのオンランプ(入り口)に直接接続できるPCCWコンソールコネクトプラットフォームの初の提供を東京他3都市で実施する。このパートナーシップにより、IBMにおけるコンピュート、ストレージ、ITインフラを含むポートフォリオ全体へのアクセスが可能となる。
- ストーンピーク・インフラストラクチャー・パートナーズは、投資パートナーと10億ドルを出資し、データセンター系ベンチャー Digital Edge を設立。日本では伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の目白坂データセンターを通じた戦略的パートナーシップを発表した他、大阪で12MW規模のサイトを開発予定している。
