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オフィスの新しい形「セットアップオフィス」とは?

Hideyuki Morita • 21/05/2020

東京のオフィス市場で見られるトレンド、「セットアップオフィス」 を紹介いたします。市場の回復時に新たなソリューションを求めている企業にとって一つの選択肢になるかもしれません。

 

Set-up Office example in Tokyo

出典:グランファースト新宿御苑

 

オフィスを新設する、もしくは移転する場合、一般的にはタイルカーペットのみが敷き詰められた伽藍堂の部屋を借りることから始まります。部屋が決まったらレイアウト、内装を専門の業者と打ち合わせして発注をし、工事着手となります。これらの作業に多くの人員、時間を費やされる為、企業の総務担当者には相当の負担となります。そんな中、注目されているのがセットアップオフィスという事務所形態です。これはテナント・オーナー双方にメリットがあり、近年この形態で募集をするオフィスが増えています。セットアップオフィスとはどのようなものかご紹介します。

 

セットアップオフィスとはオーナー側で一部の内装を用意し、テナントに貸し出す形態です。主に接客スペース、応接室、ラウンジスペースなどの内装とそれに付随した什器備品を用意しています。機能性・デザイン性は多くのテナントに受け入れられるよう汎用性の高いものにし、執務スペースにはそれほど手を加えないことが多いです。

 

セットアップオフィスのテナント側のメリットは以下のようなものが考えられます。

  • レイアウトや内装デザイン・内装工事に費やす時間が短くなる。
  • 内装等に費やされるイニシャルコストが少ない。
  • 時間をかける必要がないため、総務担当者の負担が減る。
  • 執務スペースに什器備品を持ち込むだけでオフィスとして機能を果たせるようになるため、急ぎの移転にも対応が可能。

  上記のようなメリットがあるため、小規模にオフィスを構えている企業に人気が高いです。

 

Set-up Office example in Tokyo

出典:グランファースト新宿御苑

 

当然メリットばかりではなく、デメリットもあります。

  • レイアウトが合わなかった場合に変更が難しい。
  • 内装工事や什器備品にかかるコストが賃料に反映されているため、周辺相場よりも賃料設定が高い。
  • 原状回復は内装や付随した什器備品も対象になっているため、工事費用が1.5-2倍になる。

 

執務スペースはテナントの希望するレイアウトが可能ですが、それ以外のスペースをレイアウト変更しようとすると退去時には元に戻す必要がでてきます。

内装等をイニシャルではなく、月々のランニングで支払っているという考え方もできますが、長期でオフィスを利用した場合はイニシャルで支払ったほうが安かったということにもなります。

 

メリット・デメリットを比較しながら検討していくことが必要です。

 

セットアップオフィスのオーナー側のメリットは以下のようなものが考えられます。

  • 周辺の相場よりも高い賃料で貸すことができる。
  • 周辺物件と差別化を図ることができる。

 

上記のようなメリットで集客をすることができますがオーナーにもデメリットもあります。

  • 初期投資がかかる。
  • 予めメリットの説明をしなければ賃料設定の高い物件として選択肢から外れてしまう。
  • 原状回復の範囲などをきちんと明文化しないとトラブルになる可能性がある。

賃料を高くできそうだと安易な投資をしてしまうと思わぬ足かせになる可能性もありますので、十分に検討をする必要があります。

 

セットアップオフィスについて先駆けて取り組みをしている不動産会社にお話を伺うことができました。

リーマンショックの頃、豪華な内装を設えたにもかかわらず、1ヶ月ほどで退去を余儀なくされたテナントが出てきました。壊すにはもったいないので居抜きの物件として募集を始めたところ反響が大きかったといいます。この不動産会社は元々リノベーションを得意としていた会社であったため、自分たちで居抜きのような物件を用意して募集をしてみてはどうか、というのがセットアップオフィスのきっかけだったといいます。

 

当初はそれほどお金を掛けずに簡単な内装としていましたが、それでもヒットしたため大きく舵を切りました。

 

この不動産会社のビジネスモデルは下記のとおりです。

  • 築年数が経った中小規模のオフィスビルを取得する。
  • オフィスビルの外観・共用部をリノベーションしてビル全体の価値を上げる。
  • 既存テナントに対し増額交渉をする。
  • 退去した区画についてはセットアップオフィスとして募集をする。
  • ビル全体の賃料が高くなったところで売却をし、売却した物件のPMを取得する。

 

これまで8年間、年間平均30棟、合計約850部屋のセットアップオフィスを構築してきました。初期の簡単な内装から時代に合わせて少しずつバージョンアップを繰り返し、現在はラグジュアリー感のあるセットアップオフィスを提供しています。WeWork等のサービスオフィスを利用していたテナントから支持をされることも多いです。

 

大企業は自身のカラーがあり、セットアップオフィスにはそぐわないため、今後も中小規模の物件を提供していきたいといいます。

 

セットアップオフィスという言葉もこの不動産会社が使い始めたものです。他社も模倣を始め、追随してきたことに誇りを持っているとのことです。

 

近年はシェアオフィス・レンタルオフィスやコワーキングスペースなど様々なオフィス提供のされ方があります。セットアップオフィスは事例がまだ少ないですが、今後増えていくオフィス形態となるでしょう。働き方を含め、多種多様な選択肢の一つとして検討に含めていただきたいです。

 

Set-up office example in Tokyo

出典:グランファースト神田紺屋町

「6フィート・オフィス」

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延により、オフィススペースで人と人の距離を約2メートルあける工夫を考えなければならないという前例のない時期に直面しています。 それを受け、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドはオフィスでの業務再開が安全かつ効果的に行われるための方法を提案しています。

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドは中国で1万企業に勤める100万人弱の従業員を安全に職場に戻した経験と世界中の知見をもとに、新たにソーシャルディスタンシングを日常に取り入れた職場、「6フィート・オフィス」(6フィート=約1.8メートル)を提案し、オランダ事務所を皮切りに、欧州、米国、アジア太平洋地域で導入を開始しています。また、外出制限が解除され、在宅で勤務していた従業員が職場に戻る日までに、テナント・オーナー双方が職場を安全に再開するたに準備できることを網羅した包括的なガイド、「復帰への準備:業務再開の手引き」を用意しています。