経済:雇用調整は継続するも、雇用者数は増加基調を維持
ニューヨーク市の5月の雇用は引き続き順調な成長を記録し、総雇用者数は2020年2月のピークである470万人に達した。金融サービス業の雇用は7,000人増加した一方、情報サービス産業の雇用は4,200人減少した。娯楽・接客サービス産業の雇用は、市内への旅行者増加の影響で過去4か月間安定的に増加し456,100人に達した。民間部門における雇用者総数は410万人に増加した。ニューヨーク市のオフィスワーカー総数は2023年第1四半期以降でみると4,500人減少したものの、直近12か月間では28,900人増加し150万人となった。
需給:ダウンタウンの成約面積は過去3四半期で最大となる
2023年第2四半期のマンハッタンの新規成約面積は、過去8四半期で最低の390万平方フィート(sf)を記録し、オフィス需要は軟化が継続した。ただし、四半期全体では平均を下回ったものの、6月は今四半期で最もリーシング活動が活発で180万sfの成約が報告された。これは主にダウンタウンにて新規成約面積が急増したためである。例えば、Department for Citywide Administrative Services (DCAS)が10 William Streetにて、マンハッタンでは年初来最大となる640,744sfを賃借した。また、2023年上半期の新規成約面積は780万sfとなり、2022年上半期合計を40.6%下回った。オフィス需要は引き続き小規模~中規模のオフィスに集中しており、新規成約の92.0%は成約面積が25,000sfを下回った。一方、10万sf超の新規成約は年初来4件のみで、1年前と比較すると17件減少した。新規成約のうちグレードAオフィスは66.7%を占め、うち23.0%は2015年以降に竣工または大規模改修が行われた物件だった。なお、契約が更新された面積は前年比5.3%減少し、260万sfとなった。
マンハッタン全体の空室率は、10万sf超の5物件がマーケットに新規供給されたことで20ベーシスポイント(bps)上昇して22.4%となり、直接賃貸形式の空室面積は過去最高の7,020万sfとなった。Two Manhattan Westは2023年で2番目に大きい開発物件であるが、第2四半期の竣工にともない436,631sfの空室面積が追加されることとなった。サブリース(転貸)形式の募集面積は2,270万sfで変わらなかったが、1年前の2,070万sfからは拡大した。最後に、マンハッタン全体のネット・アブソープション(吸収需要)をみると前四半期末のマイナス220万sfからは改善したものの、年初来では140万sfのマイナスにとどまった。
賃料:新規供給物件によりマンハッタンの募集賃料は底上げされている