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C&W、世界のデータセンター38市場をランク付け

Yuko Okayasu • 21/01/2020

東京を含むアジア太平洋地域の市場は、今後2~3年の成長に注目

グローバル不動産総合サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)が発表した最新の 「世界データセンター市場比較レポート」 によると、かつてグローバル企業にとってニッチな投資と流動性の少ない資産という位置づけであったデータセンターは、現在では情報経済社会に無くてはならないインフラストラクチャーとなり、過去10年間で1,000億米ドルが当該資産クラスに投入されたことがわかりました。

このような大量の投資は目覚ましい技術発展が背景にあります。企業はデータセンター施設を社外のコロケーション施設へ移行し、さらに最近ではコロケーションとパブリック/プライベート・クラウドを複合的に活用する傾向にあります。このシフトにより、最大のクラウドプラットフォームの提供者(Amazon、Google、Microsoft)が多くの市場で最も影響力のある存在となり、データセンターの規模にさえ影響を与えました。10年前には驚異的だった10メガワット(MW)のデータセンターは今では見劣りし、30 MW規模の契約が一般化しています。

デイブ・ファニング(C&W エグゼクティブ・マネージング・ディレクター、データセンター・アドバイザリー・グループ責任者)は次のように述べています。

「変化の速さがデータセンターの戦略策定を複雑で困難なタスクにしています。企業は現在、社内で抱えているデータセンター施設に対して何をすべきか、どの箇所をクラウドに移行すべきか、どうハイブリッドIT戦略を策定すべきかを決定しなければなりません。 施設開発者と運営者には、安定したファイバーや電力へのアクセスを備えた区画と、許認可プロセスやあらゆるリスク要因の把握が求められます。 投資家は、データセンターの価値を長期的持続可能性か、また将来のアップグレードの容易性から評価する必要があります。 データセンターに関わる全ての関係者に、資本へのアクセスと目的の明確な理解が要求されています。」

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの調査では38の世界市場を評価するにあたり、次の12つの加重基準を採用しました。それぞれの市場を考慮し、クラウドの可用性、ファイバー接続、市場規模、に最も高いウェイト値を置き、今後の開発計画、政府のインセンティブ、市場の空室、政治的安定性および持続可能性、に中程度、そして、環境リスク、地価、電力コスト、税金、に最も低いウェイト値を設定のうえスコアを算出しました。

トップ10市場(順に、バージニア北部、シリコンバレー、ダラス、シカゴ、ニューヨーク/ニュージャージー、シンガポール、アムステルダム、ロサンゼルス、シアトル、ロンドン)は、グローバルリーダーが占めています。 続く、アトランタ、デンバー、ダブリン、ラスベガス、フェニックス、ポートランド、ソルトレイクシティ、シドニー、バンクーバーなどの新興市場も魅力的な選択肢と言えます。アジアからトップ10にランクインしたシンガポールは、アジア各国や大陸を海底ケーブルでつなぎ、世界の接続拠点としての役割を果たしています。

調査対象のトップ3市場は第4位市場をスコアで大きく引き離しましたが、続く12市場はスコア差が10パーセント未満でした。 これらは、「セカンダリー市場」という位置づけから急速に世界の主要市場に成りうるということを示唆しています。
ヨーロッパのいくつかの市場、特にロンドン、パリ、ミラノ、チューリッヒは、電力が利用可能な新しいハイパースケールの欧州大陸ターゲットとして注目を集め、国際的な事業者が継続的に関心を寄せています。 米国では最近、大規模なデータセンターサイトがポートランド、フェニックス、アトランタなどの新興市場で売却されました。これらの地域はカリフォルニアやバージニア北部といった立地に比べて大幅なコスト節減の可能性を示しています。

アジア太平洋地域のシンガポール以外の市場を見ると、特にシドニー、東京、香港、北京、上海は、接続性の向上と旧型資産の近代化への需要が高まるにつれ、今後2〜3年で大幅な成長が見込めます。 このように、トップ15のグローバル市場は今後しばらくの間、競争力を保っていくと予想できます。

ケビン・インボーデン (C&W データセンター・アドバイザリー・グループ、リサーチ・ディレクター) は次のように述べています。
「上位トップ市場は非常に広範囲のニーズに対して可能な限り多くの選択肢を提供しています。特定の専門分野においては、最も重要視されるべき特定の要件を理解した上で、適切にニーズに応じることが重要です。 今まで見過ごされ、或いは活用が進んでいなかった市場も含め、世界のニッチ開発とセカンダリー市場には大きな可能性があります。」

鈴木 英晃博士(C&W ヘッド・オブ・リサーチ&コンサルティング、ジャパン)は次のように述べています。
「日本のデータセンター市場はアジア最大級の規模を誇りますが、さらに地域データセンターへの法人税特別償却など、様々な整備促進が進められ今後も成長を続けていくことが予想されます。一方で電気確保のために長期の交渉が要されるなど、電力利用可能性の低さが一因となり新規供給量が制限されている側面もあります。大きな電力を消費するデータセンター施設にとって電力の安定供給は不可欠な要素であるため、同セクターの成長は日本のエネルギー問題とも直結しているともいえます。」

レポートはこちらからダウンロードください。