Share:

リースの再契約と賃料削減交渉を行う際に気をつけるべき10の検討事項

31/03/2020

10 considerations when approaching lease renegotiation & rent reduction

いま現在(少なくともこの記事の執筆時点では)世界中の市場が混乱状態にあります。一夜にして私たちの働き方、暮らし方、遊び方が変わりました。企業や事業用不動産(CRE)の責任者たちは、従業員の安全と従来型事業運営の持続可能性の両立に取り組んでいます。CREの意思決定者は将来の経済活動に自社組織を適応可能にするためのソリューションを求めています。

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのリーシングおよびCRE専門家は、テナントと投資家双方のアドバイザーとして、リースの再交渉や賃料の軽減要求に備えてテナントに次の点を考慮することをお勧めします。

 

1. 十分に計画し、時期を見計らった「要求」を用意する
法律的な対応、法的解釈、そして現在の出来事が経済に及ぼす全体的な影響など、多くの重要な詳細事項がいまだ不明確であることは事実です。しかし慎重に計画された戦略無しに迅速な救済措置/コスト節約を要求(ブラインド・アスクと呼ばれます)したとしても、組織にとって最適な結果がもたらされるとは限りません。市場分析に基づいた戦略を策定する方が、「やみくもな削減要求」を持ってビルオーナーに問い合わせるより、多くの場合はより良い結果をもたらし、将来にわたって重要な関係を維持することに役立ちます。まずは状況を分析し、適切な要求をどのタイミングで投げかけるのかを検討しましょう。


2. オフィススペースのビジネス上の位置づけを把握する
いくつかの産業にある企業テナントは4月以降に大きな流動性問題に直面するかもしれません。或いはビジネスを継続していくために、さらに戦略的な中長期計画が必要になる場合もあります。コスト削減の環境下では、すべてのロケーションがビジネスにとって同じ戦略的価値を持つとは限りません。不動産ポートフォリオ内の事業所の使用率がすでに低い場合や経過観察中である場合は、賃料交渉より事業所の退去を検討した方が良いことが考えられます。複数テナントを抱えるビルオーナーにおいて、既に運営ビル内で生産性や利用率の低下を経験している場合は、賃料交渉対応だけでなく運営費の見直しも必要かもしれません。組織の主要関係者と連携し、オフィスの全体的な位置づけを定義するために、必要な評価および行動のためのパラメータを決定しましょう。


3. データを活用する
ビルオーナーや他のCRE市場の関係者に問い合わせする前に、まずは利用可能なすべてのデータを分析して活用しましょう。組織の優先順位は急速に変化していますが、同様にこれはビルオーナー、デベロッパー、投資家、貸主についても同じことが言えます。


内部データは、ビジネスリーダーが利用可能な選択肢について理解することに役立ちます。例えばビジネス特有の活動データ、使用率、その他には内部ビジネス・パターンや傾向分析などです。


外部データは資産タイプによって異なります。例えば、別のサプライ・チェーンの経路を探す場合、現情勢の影響が比較的少ない地域や地域の市場データを参照して、操業停止になる前に発注を入れられます。また、企業は事業再開のデータを活用してビジネス街中心地の面積を削る代わりに従業員の居住地に近いコワーキングスペースを利用するのに役立ちます。


また、近隣テナントと情報を共有し、彼らの活動との比較を通じて自社の戦略を設計できるでしょう。

状況が刻一刻と変化するにつれ、利用可能なすべてのデータを理解することが重要です。

4. 通常とは異なる不動産やリースの利用価値も検討する
フレキシブルなオフィススペース、オンデマンドの倉庫保管、物流業務委託(3PL)は、現情勢に適応しています。ただし、使用者の特定用途のために購入して建築されたBTS施設の場合、建物オーナーと資産価値を定義するときにとるアプローチが異なる点に注意しましょう。


5. 貸主と協調する
建物オーナーは可能な限り困難に直面しているテナントに共感し、現在の賃貸借条件を超えた関係を築こうとしています。一方、テナントの要求は現実的でなければなりません。他のあらゆる交渉と同様で、賃料の全額免除の代わりに設備投資や共益費、駐車場代のような費用でクリエイティブな手段で交渉すれば解決策を見つけやすくなることもあります。交渉するにあたって、中小企業助成金を含む政府による経済支援などの追加の経済対策も考慮に入れましょう。また、多くのオーナーにとっては賃料支払い繰り延べ(例えば2021年までの分割払いなど)は受け入れやすいかもしれません。両者が受け入れられる条件の制約を認識すると議論は進めやすくなります。


テナントの視点: 多くの企業は建物オーナーをビジネスの戦略的パートナーや資金源と見なす一方、中にはオーナーを単純にビジネスの日常的な構成要素と見なしています。CREのリーダーは、経営幹部、サプライ・チェーン、製造、店舗の場合はマーケティング、財務部門等と協力し、契約や免責特約のバランスに基づいた戦略的な関係価値を理解することが重要です。


建物オーナーの観点: 所有形態(例えば、機関投資家オーナー、上場不動産投資法人(REIT)、プライベート・エクイティ、個人オーナーなど)と資金力のレベルによって、ガバナンスと意思決定は異なる結果を出します。ほとんどの場合、債務返済と不動産運営費用を支払い続けなればなりません。オーナーは金融機関や共同事業パートナーに資金繰り対策をエスカレートさせるかもしれません。


オーナーの所有構造、規模、レバレッジ、所有ビル構成、会社の文化、およびその他の多くの特性や目的を理解すると、賃料の減免や再契約の要請へのオーナーの対応に大きく影響を及ぼせます。

 

6. オプション通知日を確認する
賃貸借契約管理者や管理サービス提供会社と連携し、解約や縮小についての賃貸借契約オプションの通知日を把握しましょう。この知識により、意思決定のために通知日を延長する必要があれば、オーナーと協議できます。


7. 実際の活用方法を理解する
当社の経験では、戦略的投資家は取引事例・市場データやチャンスに上手く対応し、パートナーシップを通じて長期的な価値を生み出しています。例えば、企業の複数事業所が同じオーナーの不動産の場合はチャンスといえるでしょう。小規模で独立したオーナーの場合は、企業の特定の資産/リースについて意欲的に取り組むかもしれません。同居テナントの行動・安定性・流動性もオーナーとの交渉を有利にすすめてくれるかもしれません。組織横断的に幅広く分析を行い、自社の部門やビジネスに影響を与えているすべての要因を把握しましょう。


8. 転貸者を尊重する
自分のオフィススペースを誰かに転貸している場合、彼らを自社組織の直接の顧客として尊重する必要があるでしょう。彼らも同じように事業運営や賃料の支払いに不安を持っています。転貸借契約の条件をきちんと把握した上で戦略を策定し、オープンかつ直接的な会話を行いましょう。


9. 自社の文化とブランドを考慮する
企業が行う、あるいは行わない行動は今後数週間から数か月または数年後まで、消費者、株主、オーナーコミュニティからの評判を決定づけます。社会的責任とソーシャルメディアの時代において、今行う行動は、自社の文化や評判それとブランドに長期的に大きな影響を与える可能性があることを十分に理解しましょう


10. 一人ではないことを知る
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの専門家は、この前例のない状況下で同じでないにしても類似する課題を経験しているお客様に24時間体制で対応しています。当社の社内コラボレーションを重んじる文化では、世界中のリーシング・チームが更に連携を高めてリース戦略の成功事例を共有し、全てのお客様に最適なソリューションを生み出すことを可能にしています。適格な不動産の専門家や業界関係者は、私たちが皆直面している複雑な状況の中でテナント企業をガイドし、同様の課題に他の企業がどのように対処しているかをリアルタイムに情報共有しながら、十分な情報に基づいた意思決定ができるように、必要なソートリーダーシップを提供できます。


不動産セクターはほとんどの場合不況時には遅れた動向を示すものですが、危機的状況下においてはビジネスにとって最優先事項としても認識されます。不動産業界の全関係者 (テナントやオーナー、それに融資機関) が準備を進めていることは間違いありません。しかし、コスト削減と安定化を急ぐレースでは慎重な計画とコスト削減に何が有効かを知る必要があります。事業活動が減速している以上は戦術的な解約も必要になりますが、先を見越したポートフォリオ戦略を計画することで、企業はこれから 来る「What’s Next」 に備えることができます。

 

COVID-19に端を発した危機的状況下で中国とヨーロッパから得た教訓を活かし、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのリーシング専門家は多くの企業に、協調的な交渉方法を身につけるお手伝いをしています。不確実性が蔓延する中、こうした交渉方法で建物オーナーと危機前のパートナーシップを維持、場合によっては強化することが可能となります。