巣ごもり消費で好調な家電量販店及びホームセンターは再編が続く
9-11月期における小売販売額(速報値含)は、前年同期比0.84%減の37兆1340億円となった。家具家電、ヘルスケア用品及び飲食料品等の巣ごもり消費が販売額に寄与するものの、衣料品及び化粧品小物が弱含んだ。業態では家電量販店及びホームセンターが好調。家電量販店は郊外店舗とEコマースが伸びており、カメラと一部を除くほぼすべての家電製品が秋期で前年同期を上回った。またヤマダHDによる大塚家具子会社化など、家電量販店では家電に留まらない新たな柱構築に向け再編が続く。ホームセンターはオフィス関連やカー用品等が弱含んだが総じて前年同期を超えた。11月にアークランドサカモトによるLIXILビバの子会社化が完了し、家具日用品大手ニトリHDによる島忠へのTOBが12月に成立した。ニトリは業態が異なるものの島忠は家具を主力としている為親和性が高く、ホームセンターはM&Aによるシェア拡大が進む。ニトリと同業で郊外の巨大店を得意とするIKEAは原宿店に次ぎ、渋谷店を11月にオープン。都心部の狭い敷地での出店で出遅れたEコマースのシェア獲得にも繋げる。
路面店から消えるアパレルショップ
Q4は目立った成約がほとんどなく、主要エリアの路面店舗賃料はほぼ横ばいとなった。アパレルブランドは引き続き在庫がだぶついており、不採算店舗の撤退が余儀なくされている。中でもファッションビルへ展開しているブランドは路面店の業績悪化が顕著となり、路面店返室の動きがみられる。アーバンリサーチ神南店が10月末に閉鎖した他、明治通りのアバハウスの閉鎖や丸の内ではユナイテッドアローズのソブリンハウスが1月末に閉鎖を予定している。また名古屋大津通の路面店ではGAP閉鎖後の入居テナントとしてドンキホーテ、ベルシュカ閉鎖後にABCマートの名が浮上しており、路面店からのアパレルプレイヤーの減少が 懸念される。Go Toトラベルキャンペーンの一時停止や11都府県の緊急事態宣言再発令による人流の減少等で、更に厳しい状況が続く事が予測される。現在路面店賃料に目立った動きは無いものの、年度区切りでの経営計画の見直し等により4,5月以降賃料下落は顕在化する事が見込まれる。
戻らぬ旅行者数で問われるホテルニューノーマル
2020年はコロナ禍でホテルの開業が多い一年となった。9月はみなとみらいにカハラが開業し、10月はマリオット系ホテルのエディション虎ノ門及びアロフト銀座、IHG系のキンプトン新宿が開業、12月にはマリオット系の東山ニセコビレッジ、リッツ・カールトン・リザーブ等外資系ラグジュアリーホテルの新規日本参入もみられた。ホテル業界はインバウンドがほぼ消滅状態の中Go Toトラベルキャンペーン実施や移動制限の緩和により稼働率は堅調であったが、12月のGo To トラベルキャンペーン一時停止に伴いキャンセルが増加した。また今年に入り11都府県に対する緊急事態宣言が再発令され、同キャンペーンの一時停止措置延長並びに一部旅行会社による販売店舗縮小などの影響で、ホテル業界は再び苦境を強いられている。新型コロナ終息は見通せず、インバウンド再開への不透明感が高まる中、一部ホテルではテレワークプラン等の施策も出し始めた。ニューノーマルへの時代の変化に伴いホテルの在り方も今後更に変化が求められ、コロナ禍での再活性化が課題となる。