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日本のテナント企業が検討すべき、リース契約の再交渉及び賃料減額における7つのポイント

Ron Gormley • 11/06/2020

筆者が日常的に連絡をとっているクライアントのCREプロフェッショナル(商業用不動産・企業のオフィス管理責任者)の多くは、不透明な経済状況の中“ニューノーマル”なワークプレイスへ安全かつ持続的に戻れるソリューションを模索しています。一部の人々にとってこれは、リースの再交渉や賃料値下げ交渉の際、オーナーとのオープンで率直な対話になることを意味します。ここでは日本のオーナーとのリース再交渉や賃料値下げ交渉に備え、検討すべき7つのポイントを紹介致します。



1. 自社の状況を把握する

リース契約に基づく占有権、義務、交渉機会に加え、日本のマーケットでのリーシングの風習や慣行を知る事で交渉が円滑に進む事を認識してください。

リースタイプ / 通知日
従来型賃貸借契約(普通借家)では、契約期間中いつでも(期間の中間であっても)、初回契約期間や更新後も含め、テナントは賃料減額交渉を行う権利があります。この権利は、テナントが契約期間中にいつでも解約ができることにより、強化されます。

他方、定期建物賃貸借(定期借家)は柔軟性が低く、中途解約オプションやその他特別条項が契約に規定されていない限り、期間満了前の解約は禁止されています。残存期間が12-18か月を超える場合、Extend & Blend(契約期間を延長してまき直し、賃料を見直す)の取引は、前倒しで譲歩を提案する魅力的なソリューションになるでしょう。

進化する需要環境
東京でのオフィススペースの使用を効率化する傾向は、6(シックス)フィート・オフィス・コンセプトが証明しているように、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を職場に取り入れる必要性へと変化しています。その目的には、従業員が安全にオフィスへ戻るためのガイドラインと、パンデミック後に最適化されたオフィス環境を提供する長期的戦略も含まれています。

入居ビルの空室状況の把握
入居及び退去テナントや保留中の空室を含む入居ビルの稼働状況を把握してください。たった1件契約が解約されていたとしても、貴社にとって賃料減額やその他ベネフィットを獲得する契約の再構築の機会となり得ます。この情報で有利に動くには、ビルオーナーのプレッシャーとなるポイントを理解する事が必要でしょう。


2. 戦略的な交渉へのアプローチ

賃料の減額を要求するだけでは最適な契約条件の獲得には繋がりません。計画的なアプローチとレバレッジ戦略により、成功の可能性が高くなる事が証明されています。これによりテナントは適切な知識に基づき優位な立場から交渉を進める事が出来ます。

適切な情報の活用

  • 利用可能なすべてのデータを集計、分析、活用しましょう。ビルオーナー側に偏っていない客観性のとれたマーケット情報を使うことが重要です。現在及び今後の市場のトレンドや価格等の理解を深めましょう。

近隣のテナントと繋がることで、彼らの活動に関する知識を利用し、比較することで貴社の戦略を示教することが可能となります。

 

3. 計画的で適切なタイミングでの交渉開始

先見性のある戦略策定にあたっては、様々な周辺環境やイベントが経済全体へ与える影響など極めて重要な要因が多数あります。十分に計画された戦略無しで即時の救済/コスト削減を追求する事は、企業にとって最適な結果を生み出す可能性は低いでしょう。

貴社のバリュー・プロポジションの明確化。賃料以外にも交渉の余地がある賃貸条件がいくつかあることも理解しましょう。日本のリースは、一般的にはリース期間が短く(2-3年)、もしくは長い(5-10年)場合にはブレイクオプションが含まれる可能性があるため、高い柔軟性を有する傾向にあります。その柔軟性を維持し、早期解約権、一部解約オプション、更新オプション、その他金銭条件以外のオプションを確保しましょう。

日本の敷金・保証金は、一般的に10-12か月分の賃料と高額です。小規模オフィスビルは通常6-10か月です。敷金は無利子で実質的に無担保ローンであり、賃料の増減に比例して金額が改定します。オーナーは過去において銀行保証や信用状または敷金の削減を受け入れようとしてきませんでしたが、近年優良企業においては柔軟な対応を取り入れる動きも見られます。

サブリースとリース譲渡は他の多くの市場では一般的ですが、日本のリースにおいてはテナント側に強い権利を与えてしまうことから厳格に禁止されています。オーナーは原賃借人から知名度の低い企業が契約を引き継ぐことに対し強い懸念を持つ歴史的背景があり、その結果サブリースマーケットは実質的には存在しません。共同占有権やグループ会社へのリース譲渡を望む場合は、ビルオーナーの事前承諾を受けることにより、ある程度の柔軟性を確保することができます。


4. オーナーと提携する

オーナーは困難に直面しているテナントに可能な限り共感を示し、リース期限の延長を見据えた関係構築・改善に努めています。そのため、テナントの要求は現実的である必要があるでしょう。あらゆる交渉と同様に、賃料のみを対象とするのではなく、共益費、資本的支出、光熱費、または駐車場など、賃料のみにこだわらないクリエーティブな交渉が解決策を見出すためにも重要です。多くのビルオーナーはテナントの支払い義務の延期を受け入れるでしょう(例:2021年迄の軽減)。また、ビルオーナーのビル所有形態に基づく視点も考慮してください(e.g.不動産企業、Jリート、個人オーナー等)。ほとんどの場合、不動産の運用費用が増加する可能性があります。オーナーの所有権構造、規模、借入金、物件構成、組織文化、その他多くの特徴と運用目的を理解する事は、賃料減額やリース契約の見直しのリクエストに対するオーナーの対応策に大きな影響を与えるでしょう。

 

5. マーケットポジションを理解する

オーナーはパートナーシップを通じて長期的な価値を創造するための機会にうまく対応している事が現在までの経験から読み取れます。自社のオフィスが複数の拠点に分散している場合、同一のビルオーナーが所有していないかなども考慮しましょう。小規模な独立系のビルオーナーは、特定のリースについて意欲的に取り組んでくれるかもしれません。その他のテナント企業の行動、安定性、流動性もオーナーとの交渉のポイントになるかもしれません。セクターやビジネスに影響する全てのカタリストを理解するため、組織やネットワーク全体に広く働きかけてください。

不動産交渉における日本の典型的なアプローチは、利用可能なオプションと達成可能な賃貸条件の交渉余地を制限する傾向があります。一方で純粋な西洋的アプローチは、誤った問題にフォーカスする傾向があり、代わりに障害を生み、的外れな理由によって、最善な解決策を排除する可能性もあります。最適な方法は、西洋的な方法論と日本の慣習や慣行を融合し、市場でのポジションを活用することにより価値を最大化させることであると考えます。

 

6. ブランドメリットを強調する

消費者、株主、オーナーのコミュニティの観点から企業の社会的責任(CSR)がますます重要になる時代を迎えている中、ビルのテナントミックスにもたらされる無形のメリットを認識する事で、ビルの文化、評価、ブランドへ長期的に大きな影響を与える事が出来るでしょう。ダイバーシティやCSRなど自社が入所することによってビルオーナーのポートフォリオに与える付加価値を理解してもらいましょう。

 

7. サポートがある事を知る

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの専門家は、前例のない現在の状況下において、同一ではないにしても同様の課題を経験しているクライアントのサポートに積極的に取り組んでいます。我々の協同的な社風はグローバルリーシングチームを更に深く結びつけ、クライアントにとって最適なソリューションを実現するベストプラクティスと成功事例から得られた戦略を共有可能にしています。不動産の専門家が、現在直面している問題を解決するサポートをいたします。

例えばクライアントとビルオーナーとの関係がデリケートまたは長期的関係にある場合など、我々は裏方としてクライアントをサポートして参りました。クライアントがビルオーナーと直接的なコンタクトを継続する間、我々は戦略と交渉のためのスクリプトをご提供します。クライアントと事前に合意した戦略に沿ってオーナーにメッセージを発信する際の成功に導く優れた方法であることが実証されています。


結論

コスト削減と安定化を実現するためには、、コスト削減方法における知識や慎重な計画が必要不可欠です。ビジネスの継続性を可能にするための迅速な方向転換も必要ですが、先を見越したポートフォリオ戦略の策定より、企業は“次なる潮流(What’s Next)”に備えた行動を取ることが出来るでしょう。
中国とヨーロッパにおける新型コロナウイルス感染拡大初期の経験から学んだ教訓を活用し、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのリーシングプロフェッショナルは情報に基づいた協調的な交渉スタイルの構築をお手伝いさせて頂き、この不安定な状況下においてビルオーナーとの交渉を成功に導いていきます。

貴社オフィススペースの個別分析については、専門的知識をもつC&Wのテナントアドバイザーにご相談ください。