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「ブレンド&エクステンド」トレードオフ戦略

William Krueger • 17/03/2021

賃貸ビルの貸主が空室増の懸念に直面する中、テナントを維持するために提示できる優遇策というのが重要課題となっています。その1つが「ブレンド&エクステンド」という契約の再構築で、これはテナントが早期に契約を更新、延長する代わりに、貸主から一定の譲歩を引き出すというものです。

ブレンド&エクステンドは契約の再構築でもあります。またテナントと貸主双方にメリットがなければ成功とはいえません。貸主からは賃料の即時減額、テナントからは長期契約の確約という条件を交換することが一般的な「ウィンウィン」となる方法です。貸主は現在の賃料を減額する代わりに長期契約の保証を得ることになります。

この契約再構築は下記条件で最大の成果が期待できます。

  1. 定期賃貸借契約の場合、残存期間が12~24か月の時点、または標準的な日本の普通賃貸借契約の期間内である。
  2. 現行の賃料が公正な市場相場を上回っている。
  3. テナントが現在のオフィスを気に入っていて、公正な賃料で長期入居することを望んでいる。

ブレンド&エクステンドによる契約再構築の実例

それでは、東京のオフィスビル「Y」を想定してみましょう。賃料はネット面積の坪単価で表示しています(以下同じ)。Yビルの殆どの賃貸借契約は数年前、平均36,000円/月で締結されています。現在一般的で公正な賃料相場は30,000円/月です。

企業であるビルオーナーは、昨今の状況で当該ビルの賃料相場が下がっていることは認識しています。また今後12カ月で契約が終了するテナントが多いため、なるべく既存テナントを維持し、空室の長期化とリースアップ費用を回避したいと考えています。しかし長期的には、当該ビルの賃料は回復すると見込んでいます。

テナントXはビル竣工時から入居しており、賃料36,000円/月で60カ月の定期賃貸借契約を締結し、残存期間がまだ24カ月あります。テナントXは、日本での長期事業展望は堅調を維持していますが、短期的には事業及びキャッシュフローがパンデミックの大打撃を受けており、目下のコスト削減を求めています。しかし現在の賃貸借契約では高い賃料に縛られているのが現実で、妥協的な解決方法を模索しています。

テナント・プロパティ・アドバイザーである当社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)が提案するブレンド&エクステンド戦略は、貸主、テナント双方に利益をもたらします。その契約形態とは下記例の通りです。

  • 現行の契約期間を24カ月延長する。
  • 残存期間24カ月プラス延長期間24カ月の全期間の賃料を36,000円/月から32,000円/月に即時減額する。

ブレンド&エクステンドによる契約再構築のメリット

この協調的なウィンウィン・ソリューションによって、テナントは当該物件の入居期間延長に合意し、貸主もテナントも移転のための費用とリスクを回避することができます。改定後の賃料体系は市場相場をより現実的に反映したものとなり、テナントは希望したコスト削減を即座に実現することができます。

テナントの交渉力、またブレンド&エクステンドの成果を上げるために重要なのは、現行の定期賃貸借期間が近い将来(12~18カ月以内が理想的)終了するということです。

定期賃貸借契約ではない場合、つまり標準的な日本の普通賃貸借契約では、テナントは6カ月前までの通知によって、いつでも一方的に契約を終了することができます。この様な場合、ビルオーナーは賃料減額と引き換えに、テナントに対し定期賃貸借契約への変更を要求するか、現行の普通賃貸借契約に早期解約違約金条項を追加します。

いずれにせよ、ビルオーナーが現行の契約条件を見直さないのであれば、テナントは直ちに代替のオフィスに移転するという目下の選択肢があり、交渉上優位にはたらきます。

ブレンド&エクステンドを成功に導くもう1つのポイントは、そのオフィスビルがテナントのニーズにある程度合致していることです。つまり社員数増加に対する厳しい制約や設備の老朽化等がなく、テナントが快適に長期間入居できるオフィスでなければならないのです。

結論

ブレンド&エクステンドによる契約再構築はウィンウィンの取引でなければなりません。この成果を得るためには貸主、テナント双方が現実的に相場を理解し、契約の落としどころを見極める必要があります。C&Wはこのような交渉において高い専門性が有しています。

ビルオーナーの交渉スタンスは様々な要素に左右されます。それは、短期/長期の市場予測、対象となるオフィスビルの市場競争力、ポートフォリオの全体的状況、テナント獲得競争、オーナーの総合的交渉戦略等です。

最後に双方の「ウィン」の内容は上記交渉例以外にもあります。テナントから見た妥協案としては、フリーレント、定期的な「レントホリデー」、テナントのフィットアウト、その他テナントにとって経済的価値のあるものが含まれます。

ブレンド&エクステンド・ソリューションがお客様にどれだけメリットがあるか、無料の分析をご希望の場合はC&Wまでお問合わせ下さい